やとの個別機能訓練では、すべてのご利用者様に「トイレ立ち上がり訓練」を実施しています。
日常生活の中で移動する際には、イスや床などから「立ち上がる動作」が必要になります。これは「起立着座動作」とも呼ばれ、立ち上がる動作だけでなく、座る動作も含まれます。
その中でも今回は、右片麻痺をお持ちで、車イスを自走されているご利用者様の立ち上がり訓練についてご紹介いたします。
ご利用者様は、外出時に外階段から玄関先まではご家族の介助のもと四点杖で歩行され、玄関先で車イスに乗られますが、 以前、玄関先で車イスに座ろうとした際に、誤って車イスのアームレスト部に座ってしまうことがありました。そこで、車イスのアームレストを活用した立ち上がり訓練を開始しました。
まず、お尻を座面から離す“プッシュアップ動作(除圧動作)”練習から始めました。

K様の場合、左手の力のみでお尻を持ち上げるため、主に左上半身の筋力を使っています。しかし、力だけでなく、体幹や足腰の安定性も必要となります。
そこで、上半身と体幹の筋力を強化する目的で、「うで左右」のトレーニングも実施しています。

このトレーニングでは、主に肩回り(三角筋)や胸回り(大胸筋)を鍛え、除圧に必要な上半身の筋力を強化します。 また、背もたれから離れることで、体幹(身体のバランスを支える筋力)も鍛えることができます。右上半身についても、重力の影響を軽減した状態で、機能訓練指導員の補助のもと運動を実施しています。
これらのトレーニングを組み合わせることで、身体のバランスを向上させることを目的としています。
その後、立ち上がり訓練を実施すると…

お尻を上げる動作が安定し、手すりを活用しながら足腰にしっかりと力が入るようになりました。また、座る際にも手すりを確認しながら、慎重に着座される様子が見られます。
訓練では固定イスを使用して練習していますが、訓練後も…

車イスのアームレストを活用しながら、慎重に着座される様子が見られました。
今後も、実生活で安全に活用できるよう、機能訓練を継続してまいります。